質問:
NHKで、「バイオ燃料として芋がクローズアップされている」みたいなニュースを見ましたが、どう思いますか?

お答え:
動画を Youtube で探してみました。これだと思いますが、いかがでしょうか?
https://www.youtube.com/watch?v=MhNzAItGChM

確かに、驚きの内容ですね、知りませんでした。これまでバイオ燃料の原料は、サトウキビやトウモロコシのように食料や飼料とバッティングしてしまうのが問題でしたが、サツマイモの蔓や葉でもエタノールやメタンガスが作れるそうなので画期的だと思いました。また、発電効率が、石炭火力約40%、木炭バイオマス約30%であるのに比べて、サツマイモ約50%なんですね。

画像「おはよう日本」より

さらに、近畿大学の鈴木教授の研究について調べてみました。
Ecology Online
https://www.eco-online.org/2011/11/14/%E8%8A%8B%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E3%81%AF%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%82%92%E6%95%91%E3%81%86/

「鈴木高広教授の近未来研究所」
http://www.imo-lab.jp/

鈴木教授によると、国内の火力と原子力の総発電量は 8,700k Wh で、それと同じ発電量を芋から作るバイオ燃料で賄うためには、17.4億トンの芋が必要となり、更に、発電所以外で使われている化石燃料は、1,764万テラジュールのエネルギーを生み出しているので、それと同じエネルギーを芋を使って生み出すには、35.3億トンの芋が必要になるそうです。つまり、現在の国内の総発電量(水力を除く)と化石燃料由来のエネルギーを芋で代替するには、40.9億トンの芋が必要らしいです。

画像「Ecology Online」より

それでは、年間、40.9億トンもの芋を国内で、しかも食料生産に影響させないで作れるのか?と疑問に思いますが、鈴木教授の実証実験による試算では可能なようです。


画像「Ecology Online」より

実証実験では、1平米あたり、年間で450㎏の芋が収穫できたそうなので、もし、100万ha 用意できれば、45億トンの芋を作れるという試算です。国内には休耕地が40万ha あり、これに遊休地を加えると、100万ha の土地が確保できるそうです。

単に、休耕地だけで芋を育てても、現在、火力発電所と原子力発電所の総発電量と同じぐらいなので、実証実験と試算が正しいならば、実に興味深い話ですね。

また、鈴木教授は、生産農家の収入にも言及しています。電力会社が発電用に使っている木質チップは、海外から17円/㎏前後で購入しており、この代替品として乾燥させた芋チップを15円/kgで販売できれば、十分価格競争が可能と言っておられます。もし、農家1人で2000m2 の土地で芋を生産すると仮定すると、年間900トンの生芋が収穫でき、仮に5円/kg で売ることが出来れば、450万円の収入増になるようです。

を燃焼して発生した二酸化炭素は、元々原料の芋が空気中から吸収した二酸化炭素なので、カーボンニュートラルです。

芋の発酵液を蒸留すればガソリン代替のエタノールになるので、船舶に使うバイオ燃料に使えると思います。

そして、芋は、30%の日照で十分育ち、日本全国で栽培可能、かつ、栽培期間が短く年6回収穫可能ということであれば、供給面の心配もありません。

更に、食料生産ともバッティングしないのであれば、船舶に使うバイオ燃料の有力候補かもしれません。

宮崎県の芋焼酎メーカー「霧島酒造」では、芋の搾りかす、クズ芋をタンクの中で発行させメタンガスを作って発電しているそうなので、是非、見学に行ってみたいと思います。「e imo」というステッカーがオシャレでしたね。

画像「おはよう日本」より