お久しぶりです。
土山です。
先日、2週間ほど Positive Pioneer のドライドックへ行って参りました。
元々、ドックへ行く予定はなかったのですが、「良い機会なので勉強して来なさい。」と上司から仰って頂き、工務部にお邪魔する形でついて行きました。
初めは、どう立ち振る舞えば良いのか分からず、不安もあったのですが工務部の高佐さんと佐藤さんに親切丁寧に色々とご教示頂き、とても有意義な体験をすることが出来ました。
これまで甲板部の乗組員として、ドックには何度か行った事はありましたが、今回、陸上社員として工務監督と一緒に見て回ったので、エンジニア目線で見て、考えて、触れることができました。大変勉強になりました。
多くのことを学びましたが、その中のいくつかを紹介したいと思います。
・Floating high suction
FO service tank内でFOの取り出し口を浮かせておく装置です。この装置のお陰で、 FO service tank 内のFO残油量が増減しても、FOの取り出し口は、常にFO service tank 内の油面上層部に位置するので、FOの上澄みを抽出することができます。FO service tankの底には、スラッジと呼ばれる沈殿物があるため、それを吸い込むとエンジントラブルの原因になります。
通常、航海士がFOタンクに入ることは、まず無いので大変貴重な経験でした。特に、その中に、このような特殊な機器が付いていると知り驚きました。
・船底塗料と藻の着き方
藻が、縦長長方形になって付着しているのがお分かりになると思います。この理由は、黄色の線で示した通り、船底塗料が縦型長方形に左右へ蛇行しながら塗られるからです。このように塗ると、次の工程時に左右端が重なるので、自然に左右端のペイントが厚くなります。ペイントが厚くなれば、時間が経過しても、その部分だけ塗料の効果が長持ちするので、そこには藻が付着せず、このような模様になるというわけです。
・カラーチェックの仕方
ドックでは、船体に装備されている部品・部材に発生した肉眼ではわからない細かな損傷も見過ごすことは許されません。そこで、毛細管現象を利用した特殊な方法で損傷を発見しやすくします。
上の画像は、主機の過給機のタービンです。先ず浸透液を表面全体に塗ります。もし損傷があれば、浸透液はその損傷の奥深くまで浸みこみます。次に、浸透液を綺麗にふき取って白色の粉末(現像剤)を塗ります。もし損傷があれば、その中に浸み込んでいた浸透液と現像液が反応し、損傷が可視化されます。
久しぶりにバラストタンクに入って泥だらけになったり、デッキを走り回ったり、乗船していた頃を懐かしく思いました。
今回の経験は、今後の船乗り人生で絶対に役に立つと思っています。また暫く、オフィスでの勤務が続きますが、今回学んだことを忘れずに、訪船業務や乗船に備えたいと思います。
Login to comment