本日は、Hire Base のお話を致します。

Hire Base は、簡単に言うと船を所有し、その船を貸し出すことを事業としている船のオーナー(これ以後は「船主(せんしゅ)」と呼びます)が、その船を貸し出す時の下限の金額の事です。

<船主のコスト>

船主の事業は、①お金を借りて、②船を仕入れて、③船員を乗せ、④維持管理を行い、船を常に使える状態にして運航者(オペレーター)に貸し出すことです。つまり、①から④で発生した金額が、船主のコストになります。それでは、具体的に①から④についてお話致します。(他に裸用船 Bare boat charter もありますが、ここでは触れません。)

①お金を借りる

お金を借りると、借りたお金(元本)を返済し、そして金利を支払うことになりますので、金利の支払いがコストになります。

②船の仕入れ

船の仕入れには、新しく船を造る(新造)と中古船を買う2つの方法がありますが、いずれの方法で仕入れた船も、船主の減価償却資産になり減価償却されますので、減価償却費がコストになります。

③船員を乗せる

20名前後の船員が乗り込みますので、船員にかかわる費用がコストになります。

④維持管理

外航船は、2年半毎にドライドック(所謂、造船所)で修繕が行われ、また航海中も船員による保守修繕が行われます。これらの維持管理にかかわる費用がコストになります。

<船主の利益>

船主は船を貸し出して利益を得るので、①から④のコストに船主の利益を加えて Hire Base が完成します。

<Hire Baseは「一日当たり」で算出>

Charter Base や Charter Hire が、一日当たりで算出されるように、Hire Base も一日当たりで算出されます。これら用船に関するコストは、比較し易いように全て per day ( /day) で統一されています。例えば、速度に関する単位が km/h で表されるのと同じですね。すべてのコスト、船主利益を1年間で計算しているのであれば、Hire Base を365日で割ると、Hire Base 算出の完成です。

傭船市場の動向を見つつ、Hire Base を上回る金額で傭船に出せれば、その部分がすべて船主の利益となります。

時々、運航者の中には、 Hire Base を用船コストのことだと間違って理解している人がいます。運航者にとっての用船コストは、Charter Hire なので注意しましょう。