こんにちは。 土山です。

先日、海運集会所が開催した保険に関するセミナーに行って参りました。

 

内容は、事故発生後のサーベイや、救助契約に関する難しい話から、海上衝突予防法の見合い関係や舷灯などの超初心者向けの話まで多岐に渡っていました。

 

さて、サーベイについて会社側で気を付けなければならないことは、港によっては、サーベイヤーの数が少なく、サーベイヤーの取り合いになってしまうことがあるそうなので、事故発生後は、早急に保険会社を通して、サーベイヤーを手配しなければならないそうです。例えば、衝突事故等が発生すれば、相手船側もサーベイヤーを立てるのと同時に、双方船に積まれている貨物の荷主もサーベイヤーを立てることになるので、サーベイヤーの数が、圧倒的に足りなくなってしまうからです。

 

 

また、当方の船側で気を付けなければならないことは、相手側のサーベイヤーに好き勝手させてはならないということでした。相手側のサーベイヤーを放置すると、当方の船側が不利になるような状況を作られてしまうので、必ず当方の船側のサーベイヤーも立ち会わせた上で、相手側のサーベイヤーに調査してもらうことが大切とのことでした。

 

 

また乗組員は、誰が何のサーベイヤーなのか、理解していないことが多々あるそうなので、船長は、そこのところをしっかり理解して、対応しなければならないとも学びました。

 

次に救助契約ですが、例えば、本船が座礁後「離礁しても問題ないな」と判断した頃に、都合よくタグボートが寄ってきて「少し引っ張りましょうか?」と親切に聞いてきたとしましょう。そこで、「親切だなぁ」と思ってお願いすると、後日、莫大な救助料金を請求されてしまうことがあるそうです。なぜ、そのような事が起きるかと言うと、救助した側は、船だけではなく、貨物、燃料等、船に搭載されているありとあらゆるものを救助したと見なし、法律上、それらの価格の数%を救助報酬として請求することが出来るからだそうです。そして、もし支払いを拒否したら、救助した側は、救助した船を差し押さえる権利も持っているそうなので、軽い気持ちでお願いすると大変なことになります。

 

 

従って、事故が発生したら、早急に会社へ報告をし、会社は保険会社へ連絡、そして、正規の手順に則って救助を手配することが大切です。船長の判断でサインなどを絶対にしてはならないというお話でした。

 

 

また、この救助契約を利用した詐欺が、他国で発生しているようです。入出港でタグを使用しただけにも関わらず、救助作業をしたとタグ側が言い張り、船を差し押さえると脅し、金銭を要求する手口だそうです。

 

これまで自分は、「海に出れば、誰もが陸上の支援は得られないのだから、助けを求めている船が有れば、船の大きさや船種などに関係なく、持ちつ持たれつ、船乗り同士で助け合おう!」という気持ちを持っていましたので、この話を聞いて「現実は世知辛いなぁ」と少し悲しくなりました。

 

 

とは言え、上記の内容は、海上勤務に戻った際、覚えておかなければならない重要な内容なので、セミナーで見識を広められて大変良かったです。