質問:
摩擦の少ないAFを塗ってCIIの成績をよくできないかなぁ~なんて考えているんですけど、先生はどう思われますか?
ご回答:
CIIの評価を上げる手段の一つとして船体に低摩擦の防汚塗料を塗布するのは、有効な手段です。船種にもよりますが、CIIの評価は結局のところ燃料消費と航行距離が重要なファクターとなっており、低摩擦の防汚塗料の塗布は燃料消費を下げることになります。塗料メーカー、塗料のグレードにもよりますが、2~3%、モノによっては10%程度の燃料消費の改善が見込まれ、CII評価に大きく寄与することになります。
また、低摩擦の防汚塗料は、通常の防汚塗料に比べて割高になりますが、燃料消費が2~3%の削減を考慮するだけでも、数か月~1年程度で元が取れる計算になります。
ただし、残念ながら、低摩擦の防汚塗料の燃料消費改善効果は限定的で、塗布後の船体は、入渠後が一番綺麗な状態で、月日の経過と共に汚損していきます。この汚損は、船体抵抗増加の原因となり、船体抵抗が増加するとその分燃料消費も多くなり、最終的にCO2削減率が下がってCII評価が悪くなってしまいます。
船体汚損が認められれば、船体クリーニングをするのも一つの手ですが、船体クリーニングを実施すると低摩擦の防汚塗料も同時に落としてしまう可能性があるので、船体は綺麗になるけれど塗料も落としてしまい、その結果、海洋生物の付着が更に激しくなる、、、とマズイ展開になるかも知れません。
という事で、色んなことを考慮しながら、決定していくことになります。
何事もメリットデメリットがありますね。
Login to comment