こんにちは。

ECLSMの佐藤です。

またまた、間が空いてしまいました。いつも通りと言われてしまえばいつも通りですが、、、、更新頑張ります。

最近は猛暑日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。僕は暑いのが苦手で、休日はもっぱら家に引きこもっております。この猛暑のせいで、引っ越し時に購入した観葉植物達が葉焼け??を起こして、あっという間に枯れてしまい、凄くショックを受けている今日この頃です。特にソフィオラは綺麗な葉が枯れて無くなり、枝だけになってしまいましたが、これはこれで趣があっていいのかなと、ポジティブに思っております。植物でもこの様にすぐに体調を崩してしまう気温ですので、熱中症や体調にはお気を付けてくださいませ。

さて、前回の投稿は、学生さん達に実施しましたエンジンルーム見学会について、書かせていただきましたが、今回は私が講師として参加したフィリピンの Safety seminar についてお話しします。

まず、Safety seminar とは言葉の意味通り、現場全体や乗組員一人ひとりが、労働災害をおこさないために何をすべきかを考え、全員の安全意識を向上することを目的に開催されます。そのテーマは、業種や分野、業務内容によっても異なります。僕が所属している工務部では、船内で発生したトラブルの状況を説明し、また最新の国際規則等を乗組員に対して講義を実施しました。

トピックスは、EEXI & CIIFuel analysis(Si + Al)Cylinder oil 3つでしたので、それについて簡単に概要を説明します。

EEXI & CII

昨今、気候変動問題への対応が各国、各分野での喫緊の重要課題となっており、そこで深く関わってくるのが温室効果ガス(GHG : Greenhouse Gas)です。

温室効果ガスとは、二酸化炭素(CO2), メタン(CH4), 一酸化二窒素(N2O)など、大気中の熱を吸収する性質のあるガスのことです。産業革命後、温室効果ガスの排出量が右肩上がりに増え続けている事で、世界中で異常な気温上昇が発生しております。そこで海運界では、国際海運における目標として2018年に採択されたIMOの「GHG削減戦略」があり、CO2排出量の規制を行い、2050年までにCO2排出ゼロを目指しております。目標達成に向け、本年2023年から短期対策としてEEXI規制 & CII格付けが開始されました。

EEXI規制とは、CO2の排出量削減に対して技術的にアプローチする規制です。技術の進歩で年々効率の良い及び環境に優しい機器/機械が開発され、それを新造船に設置する事でCO2の排出量を削減する事は可能ですが、就航船にはそのような事は出来ません。そこで、新造船に対するEEDIによる規制と同様に、就航船に対する規制として単位輸送量当たりのCO2排出量を制限する、EEXI規制が導入されました。

お話の途中ですが、

EEXI とは、就航船の燃費性能を表す指標です。 EEXI  Energy Efficiency Existing Ship Index の略語です。

これに対して、EEDI が、新造船の燃費性能を表す指標です。EEDI Energy Efficiency Design Index の略語です。

前のお話に戻ります、

次にCII とは、Carbon Intensity Indicator の略度で、CII格付けとは、就航船が行った技術的なアプローチと、運航的アプローチによるCO2排出削減対策の結果を評価し、DCSのデータを基に1年間の燃費実績をA-E5段階で格付けを行うことです。格付けはAが最良、Eが最低格付けとなっており、格付け評価がACだと問題ありませんが、3年以上Dランクが続く or Eランクになった場合は、是正計画を作成し、クラスNKに提出する必要があります。この制度は、2023年からデータ収集が開始され、2024年に昨年(2023)の評価が実施されます。これらに関しては、大先輩がブログで、わかりやすく説明していますので、「教えて、高佐さん !」もご覧下さい。

Fuel analysis Si + Al

燃料分析の中にSi + Al (ケイ素とアルミニウム)という項目があり、最近、我々の管理船で、この物質が原因で不具合が発生しましたので、特に今回のセミナーで取り上げて乗組員に説明し、この物質がエンジンプラントに与える影響を Group discussion しました。

Si + Al 等を総称してFCC (Fluid Catalytic Cracking) 触媒と言います。この石油精製装置の流動接触分解装置に使用される Si + Al FCC触媒は、非常に細かい硬質な粒子です。本来は、石油精製装置内で回収されて循環使用されるものですが、一部は精製後も燃料油に残留してしまい、そのような燃料が船体に補油されると、船体各部の異常摩耗の原因になります。

基本的には、その様な燃料油が入り込んでも、本船エンジンプラント内の機器を適切に運用すれば、取り除くことが可能な物質なので、乗組員に機器運用の方法について、改めて説明をしました。

燃料油は傭船者が手配するので、粗悪燃料油に起因するトラブルは、傭船者の責任ではありますが、燃料分析で「OFF-SPEC」と判断されない限り、Si + Al が混入した燃料でも使用出来る燃料油となります。なので、この Si + Alに限らず、燃料分析の結果をしっかりと読み取ることが、自船の安全に繋がる事を、再度、説明しました。 

Cylinder oil

シリンダーオイルとは、主機のピストンリングと、シリンダライナの間の潤滑を補っている潤滑油です。シリンダーオイルは、高アルカリ性、高粘度、高い耐圧性、高温清浄性の性能が必要です。また潤滑以外にも腐食や摩耗を防止する役割があります。潤滑の役割を担っているので、沢山注油した分だけ効果があると思われがちですが、注油率が過多になるとカルシウムが発生してしまい、ピストンリングの破損にも繋がります。もちろん、主機の状態及び運転方法によって注油率は変わってきますので、改めて注油率の正しい選定方法、及び計算式を乗組員に説明しました。

この様に、面白みがない文をダラダラと書きましたが、乗組員=フィリピン人なので、勿論、英語での講義です。私自身、日本語でも入社以来、この様な形で講義をした経験が無く、ましてや英語でなんて未知の世界であり、十二分に準備し臨みましたが、惨敗でした。

英語力が無いが故、原稿等を作成しておりましたが、それが仇となり、応用が効かず、且つ心に余裕がなくなり原稿だけを見て、ただただ自分のペースで淡々と講義をしていました。

本来は、出席者=乗組員と目を合わせ、乗組員がどこまで理解しているのか困った顔をしていないのか考えている途中なのか? など、相手の表情を見て進めていかないといけないはずだったのですが・・・

これでは、講義用の資料と原稿を乗組員に渡して、読んで貰うのと同じで、講師がわざわざ講義するまでもありません。また、Fuel analysis (Si + Al) の講義では、グループディスカッションで進めましたが、僕自身の英語力の低さが、そのディスカッションの生産性を明らかに下げておりました。

私も技術者の端くれです、新しい技術を学び、新しい概念を覚え、各メリットデメリットを日々勉強しております。しかし、いざ、その知識を最大限に活用して講義をするとなると、英語では自分の考えていることや学んだ知識を、日本語で説明できるほどに論理的に説明できなかったのです。

私に英語力があればもっと分かりやすく説明出来たのにと、この様な場を通じて自分の英語力の無さを再痛感しました。次回は、相手の意図を汲んでしっかりと英語で説明出来るように、語学力を高めたいと思います、いや、高めます!

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

佐藤