ご質問:

船員は寄港する港で、自由に上陸して食事をしたり、買い物をしたりできるんですか?門限とかあるんですか?

 

 

ご回答:

現役の船員として船に乗っている方々、或いは、過去に乗っていた方々においては、既に知っている当然の内容ですが、船員を目指している、または、これから初乗船する方々にとって「上陸」は特に気になる内容のひとつかと思います。

 

 

答えは『条件付きで可能』です。

 

 

船の種類、航路(積み地や揚げ地)、運んでいる貨物(荷役時間)、会社のポリシー、船長の判断などによって異なるため一概には言えません。

 

会社から上陸禁止の指示が出ていなければ、荷役の状況や貨物の種類による制限、コロナなどの疫病の蔓延、その他当該寄港地の社会情勢悪化等がない限り、船長は、自船乗組員の上陸を許可し、上陸可能となります。

 

 

基本的に乗組員は、買い物や食事の時間を過ごすために上陸することが多いように感じます。

 

 

ちなみに、shore pass という上陸許可証(事前の申請により、外航船の乗組員に発行されるもの)があります。港湾代理店が手配して船長に渡され、船長は上陸許可する場合、この shore pass を乗組員に配ります。乗組員は、この shore pass を上陸時には常に携帯しなくてはなりません。

 

 

各港には、ISPS (International Ship and Port Facility Security Code) のゲートがあり、許可された人しか出入りできないようになっています。

 

このゲートの開閉の時間は、各港によって異なります。

 

また、このゲートの開閉時間とは関係なく、各船ごとに設ける、いわゆる「門限」は、荷役の終了時間・船の出航時間や各港の個別の事情を基にして、管理会社や船長が定めます。

 

 

荷役終了時間が早いコンテナ船や自動車船、または、買い物や食事ができるような街から遠く離れた港へ寄港する船などでは、港に到着しても船上から陸地を眺めるだけで、上陸ができないことが殆どです。

 

 

6~9か月と船会社によって乗船期間は異なりますし、船の動静によっても多少前後しますが、外航船員は乗船期間、陸にいる家族や友人、恋人のことを想いながら、下船後の休暇をモチベーションのひとつにして、乗船中の船務を懸命に遂行しているのです。