ご質問:

船の位置や進路は、どうやって決めるんですか?ジャイロとか、レーダーとか使うんですか?

ご回答:

まず、航法に関して述べる際、船舶の「しんろ」には「針路」と「進路」があります。船首が向けられている方向のことを「針路」といい、風や海流・潮流など外力の影響を受けた結果、実際に進む方向のことを「進路」といいます。

また、航海をするために用いられる計器を航海計器といいます。航海計器には、レーダー、GPS、ECDIS、AIS、音響測深機、クロノメーターなどがありますが、そのひとつがコンパスです。

コンパスには、地磁気を利用したマグネットコンパス(磁気コンパスとも言い、いわゆる羅針盤です。)と高速回転するコマの運動、プレセッションを利用したジャイロコンパスがあり、針路を定め、方位を測定するために使用します。

航海士はこのコンパスを用いて、操船しています。

針路や方角は、地球の地磁気による偏差と、船体や周辺機器の磁性の影響による自差を考慮して決定・測定したり、対地や対水といった違いが針路や船速に関してはあり、また、航法(航海術)には大きく分けて地文航法、電波航法、天文航法とがあり、地文航法のなかにも沿岸航法、距等圏航法など様々なものがありますが…それらはまた別の機会にお話することとします。

話を元に戻すと、

船位(船の位置)に関しては、コンパスやレーダーを用いたクロスベアリングや、GPSにより計測、把握します。

レーダーは、他船との衝突を避けるために使用するツールのひとつです。自船の船位(自分の位置)・針路・船速と、他船の位置・針路・船速から相対関係を把握して、安全運航のための操船に役立てています。

様々な航海計器を駆使しながら、自分の知識・経験・決断力を武器に、「どのように自船の乗組員及び運んでいる貨物の安全を保つか、如何に自船を安全かつ確実に次の目的地(港)まで向かわせるか」を常に考え、最適解のための取捨選択をしながら操船しているのが私たち航海士です。