船員

 

2024年、初めての投稿となります。本年も宜しくお願い致します。

記念すべき本年1回目の投稿としてどんな題材が良いか悩みましたが、今回は船員について話したいと思います。

 

船舶において最も大切なものは何か、そう聞かれたら私は船員であると即答します。なぜなら、船員なしでは船は動かないから。どんな素晴らしい機器が搭載されていても、どんな素晴らしいシステムが構築されていても、それを使うのは人間、船舶に乗り込む船員であり、彼らがいなければ船舶の運航及び管理をすることは不可能です。

 

24時間365日、甲板部の船員たちは船舶管理・運航と貨物管理のため、機関部の船員たちは機器の管理・運転のため広い船内をフィールドに、船主のため一生懸命職務を遂行しています。しかしながら業界関係者のなかには、あたかも船は自動で動いているかのように思われている方や、船員のことなど頭にもなく、または船員を軽視しているような方もいらっしゃるように感じることがあります。

 

参考までに、日本海事広報協会webサイトや一般社団法人日本船主協会(JSA)HPなどでも閲覧できる『日本の海運 SHIPPING NOW 2023-2024/データ編』によると、2022年時点、日本の貿易に占める海上貨物(海運)の割合(トン数ベース)は輸出入合計で99.6%(輸出98.9%、輸入99.7%)となっており、海運は日本の貿易に不可欠な輸送手段となっています。

日本海事広報協会 https://www.kaijipr.or.jp/

 

それでは、日本において主な資源の対外依存度はどのくらいかというと、鉄鉱石が100%、原油99.7%、石炭99.6%、天然ガス97.8%、LPガス76.3%、羊毛100%、綿花100%、衣類98.5%、とうもろこし(飼料)100%、エビ91.5%、大豆93%、小麦83%、砂糖類64%、果実61%、魚介類43%、肉類47%、米2%、天然ゴム100%、木材64,1%となっています。

 

 

それら資源の輸送手段である船舶を現場で運航・管理するのが船員ですが、外航日本人船員数に関して、1974年では職員と部員合わせて56,833人であったのに対し、1995年では職員5,992人部員2,446人となり、2022年では職員1,633人部員429人にまで減っています。また、日本商船隊の船員の割合に関しては、2023年5月時点、フィリピン人が最も多く69.4%、続いてインド人が13.1%、ミャンマー人が4.1%、その他11.9%、日本人は1.5%と、ごく僅かとなっています。

 

 

幸いにも私自身この業界で船員として、海技者として働かせていただいているので、海運業自体のことを、世界において(とりわけ日本において)海運がいかに重要であるかを、船員という職業・存在を、そしてその船員の重要性・希少性を、少しでも多くの方々に認識していってもらえたらと切に願っています。