中国のEV市場が変化してきています。

2020年7月に発売された格安EVの代表格である中国・上汽通用五菱汽車(ウーリン)の「宏光(ホングアン)MINI EV」の販売が減少しています。

その原因は、半導体をはじめとした部材の値上がりによる販売価格の上昇、格安EV市場の飽和、中国政府が設定した新エネ車の製造・販売目標をクリアしたメーカー(格安EVメーカー)が、クリアできなかったメーカーに「クレジット」を売って利益を出すというビジネスモデルの崩壊などと言われています。

「2年前、テスラを上回る人気」と騒がれていましたが、2年も続かなかったようです。

中国、「50万円EV」の販売急減速 主戦場は中価格帯に:日本経済新聞社

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM276Y30X20C22A6000000/

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日本円で約50万円という格安な電気自動車(EV)のブームが中国でしぼみつつある。火付け役の「宏光MINI EV」の販売台数は5月まで2カ月連続で前年同月実績を割り込んだ。原材料高などに伴う値上げや、同車種の人気をみて参入した他社との競争激化で市場が飽和した。各社とも原材料の高騰などで利幅の維持が難しくなっており、主戦場を中価格帯にシフトしつつある。

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中価格帯には、比亜迪(BYD)や外資メーカーなど競合が多数いるので、競争は一層厳しくなるでしょう。

一方、ガソリンエンジン車ですが、中国にはNEV規制に加えて、自動車メーカーの平均燃費に関する「CAFC(Corporate Average Fuel Consumption)規制」もあります。NEV規制とCAFC規制の「ダブルクレジット規制」の下、高価格帯のガソリンエンジン車メーカーもEVの生産にシフトを急いでいます。

BMW、中国新工場が稼働 EV生産拡大へ: 36Kr JAPAN

https://36kr.jp/191953/

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独自動車大手BMWが150億元(約3000億円)を投じて遼寧省瀋陽市に建設した新工場「里達工場」が6月23日、正式に稼働を開始した。同市内に設立した生産拠点としては3カ所目となる。

里達工場は、地元自動車メーカー「華晨汽車(Brilliance Auto)」との合弁会社「華晨宝馬汽車(BMW Brilliance)」が、BMWの新たな生産戦略「BMW iFACTORY」に従い、リーン生産方式・グリーン化・デジタル化に焦点を当てて運営する。同工場はすでに、中型の電気自動車(EV)セダン「i3」をラインオフしている。

BMWは2021年、里達工場が稼働すれば、中国での年間生産台数が現在の70万台から83万台に増加するとの見通しを示していた。同工場は市場の需要に応じたバッテリー駆動電気自動車(BEV)の生産が可能となっている。BMWは23年までに中国でBEV13車種を発売する計画だという。

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一方、中国自動車市場でトップを走っていたVWも中国でEV工場を新設し、販売網を強化する動きを見せています。

アウディ初の中国EV専用工場建設でEVシフトを強化 : JETROビジネス通信

https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/03/5f5308c8bf3a6fa5.html

今後のEV市場の動向から目が離せませんね。