船隊整備

船隊整備とは、輸送需要に合った船を複数揃えることです。ブレイクバルク輸送は、原則、不定期なサービスですが、狙う海域でプレゼンスを発揮し、荷主に自社のサービスの認知を得るためには、複数の船を使い、ある程度の配船頻度を維持する必要があります。

 

主に、船隊は2つの観点で整備されます。船型が貨物にベストフィットること、港湾経費、荷役費、燃料費などの経費が軽減できること、かつ、一回の船積量に過不足なく対応できる大きさであること。これを船型の観点と言います。(例えば、一定の要件を満たせば、パイロットやタグボートを使わずに入出港が可能です。本船クレーンで荷役が出来れば、陸上や海上クレーンを雇う必要はありません。また、自ら走り込める貨物であればRORO船を使えば、荷役費の削減になります。)

 

 

つぎに、用船コストに競争力があること、つまり、用船コストが安い船であること。これを用船コストの観点と言います。

 

<船型の観点>

具体的に船型の観点を考えてみましょう。主に、ブレイクバルク貨物は、自動車専用船の様なRORO船と在来船の様なLOLO船で輸送されるので、輸送しようとする貨物の特性を考慮し、RORO船を揃えるのか、LOLO船を揃えるのか、或いは、それらを組み合わせて船隊を作るのかを考えます。また、組み合わせるのであれば、そのポートフォリオを考えます。

 

RORO船の選定では、ランプウェイの強度、積載可能台数、LOAの長さ、ドラフトの深さ、背の高い車両、背の低い車両の積載能力などを考慮します。一方、LOLO船の選定では、クレーンの吊り上げ・巻上げ能力、積載トン数、LOAの長さ、ドラフトの深さなどを考慮します。

 

狙う海域では、どのような貨物の輸送需要があるのか、慎重に見極め、船型のポートフォーリオを設定しましょう。

 

<用船の観点>

次は用船の観点、つまり、用船コストを安く抑える方法を検討をします。用船は、新しく船を作って船を調達する方法や、中古船を買って船を調達する方法もあります。また期間を定めて借りて来る方法もあります。すべて、市場原理に基づいて価格が常に変動していますので、チャンスを見極めていずれか有利な方法で船を調達します。新造船、中古船、借船、いずれの方法にも一長一短があるので、一般的には、それらを組み合わせた用船のポートフォリオを設定します。

 

このように、船型の観点と、用船コストの観点から競争力がある船を選び、揃えることが船隊整備の基本です。