質問:
NXT GENESIS は、御社が日本の内航船を外航船に改造した船だ、 とウワサで聞いたのですが、本当ですか?
ご回答:
本当です。
この本船は、日本で国内輸送に約20年間従事していました。 その後、NETWORK CROSS TRADE LINE が購入し、わが社が外航船に改造しました。
このプロジェクトは、2019年に始まりました。キッカケは、 NETWORK CROSS TRADE LINE から「日本の内航RORO船を外航船に改造できないだろうか?」 という問い合わせでした。当時、同社は、 外航RORO船の新造計画を持っていましたが、 新造船価格から算出された用船コストと運賃を比較したところ、 採算が合わず苦慮していました。また、将来の船舶燃料が、 LNGなのか、水素なのか、アンモニアなのか定まらない中で、 新造船を発注するのはリスクが大きいと考えてもいました。
日本の内航船は、2-3年に数隻の割合で売船市場に出され、 それは主に韓国、フィリピン、 インドネシアなどのバイヤーが買っていました。同社は、 そこに目をつけて「 内航船を外航船に転用できたら競争力があるのではないか?」 と考えたそうです。
わが社は、この提案を保守修繕、耐用年数延長、環境保全、 外航改造の4つの点から検討しました。そして、「 理論的には可能だが、工期やコストに関しては、 やってみないとわからない」と回答しました。
同社の経営指針は、Curiosity brings fun ! (やってみよう!)だったので、わが社の「理論的に可能」 という判断に着目されGOサインが出ました。
その後、売船対象となる船が数隻現れましたが、検討の結果、 2022年7月にこの本船が購入されました。
20年も使われていた船ですから、当然、膨大な修繕・ 換装箇所があります。また、内航と外航では、 基本的に関連法規が全く違うため、本船が外航に従事するには、 外航法規に照らして必要な設備を大幅に増設しなければなりません 。当時は、コロナウイルスが猛威をふるっており、 ドックや作業員の確保、部品の調達に苦労しました。 特に厳しかったのは、 半導体不足の影響から電子機器の調達に数か月かかったことです。
その様な中で、何より嬉しかったのは、ドックの皆さん、 部品メーカーの皆さんの協力です。「内航船を外航にする!」 という常識外れな作業に、 多大なご支援を賜ったことが本プロジェクトが成功した大きな要因 だと思います。
お蔭さまで、本プロジェクトを通じて、 内航船を外航船に改造するノウハウをタップリ勉強させて頂きまし た。このノウハウは、わが社の技術力を更に一歩前進させました。 まさに、知の探究と技能の向上です。
今回の運航会社と船舶管理会社がタッグを組んだ挑戦は、 運航会社が厳しい環境の中で、 いかに競争力を維持するかという課題への答えになるかも知れませ んね。
8
Login to comment