お疲れ様です。

新人の土山です。

今週は4日間NKアカデミーという講習に行かせてもらっていまして、NKの職員さんが、外航海運で使用する条約について色々説明してくれます。

 

とても勉強になるのですが、永田町に講習会場があるので、自分の場違い感が否めません。

 

さて、その講習の中で印象に残ったものがあります。それは満載喫水線についてです。満載喫水線自体は、甲板部の人間であれば珍しくもなんともなく、学校でも勉強するのですが、今回はその満載喫水線について、新たな知識を得たのでここに残しておこうと思います。

 

 満載喫水線とは、船を海水に沈めることができる深さを表したマークになります。貨物を「てんこ盛り」にしてしまうと、浮力が重力に負けて沈没してしまいます。そんなこと誰でもわかると思うのですが、実際にたくさん積んで利益を得ようとして、沈んでしまった船があるのでこの規則があるのです。

 

自分は、浮力を確保するための安全措置であると認識していたのですが、それだけではなく、甲板上に海水が打ちあがるのを阻止し、甲板上の乗組員を保護することも、目的に入っているようです。

 

ですので、寒冷地方は海が荒れていることが多いので、満載喫水線を下げて乾舷を多くとるようにします。塩分濃度が違うから、温暖地方と寒冷地方で違いがあると思っていたのですが、海が荒れているからという意外と単純な理由で面食らいました。また、積み荷が木材だと木材が浮き輪の役割になるから満載喫水線を下げてもいいという規則まであり、甲板上の水密構造によっても満載喫水線を変更できるそうです。

 

自分はてっきり、あの線を超えると着岸中でも船体に危険が及ぶと思っていたので、荷役中のバラスト操作でも喫水をかなり気にしていました。

 

とはいえ、航海中に超えていると浮力が小さい中での動揺もありますし、波が甲板に打ち上げて大量の水が甲板上で暴れ回り、復原力が小さくなるので大変危険です。NKの職員さんに聞いたところ、着岸中であれば満載喫水線を多少超えても問題ないということでした。

 

確かに、浮力確保は満載喫水線を決定する要素の一つでしかなく、様々な+要素を加味して決定されているなら、かなりの安全マージンが取られていることでしょう。

 

今までの気苦労は一体何だったのでしょうか・・・