本日のテーマは、サーベイです。

運賃の計算の根拠となる容積、重量は、誰が計測するのでしょうか? それは、公正な第三者である検量人とも呼ばれるサーベイヤーです。

検量人とも呼ばれるサーベイヤーの主な役割は、正確な数値を計測することにより、安全な輸送と荷役を確保し、公正な通関、運賃の計算、港湾経費の計算を助けることです。

また、検量以外にもサーベイヤーは、事故発生の際に現状確認を行い公正な保険処理や裁判を助け、更に燃料補給の際は燃料の品質や数量を確認して公正な取引を確保します。

様々な形状の貨物を扱うブレイクバルク輸送では、安全輸送を確保するためにサーベイヤーによる検量が実施されます。ただし、船社が荷主による検量を許可し、荷主の申告数値で輸送を行うことがあります。これは Shipper's Weight & Mesurement と呼ばれ、特に新車の自動車や建設機械、プラント設備に対して実施されます。これらは、いずれも製造で使用される設計図から正確な容積や重量を把握できるため Shipper's Weight & Mesurement が許されています。

「トン数を殺す」という言葉を縮めて、トンコロと呼ばれる不正行為があります。これは中古車や中古建設機械、中古プラント設備などの輸送に際し、船社が荷主を信頼し Shipper's Weight & Mesurement を許したにもかかわらず、荷主がその船社の信頼を裏切り運賃を安くするために貨物のトン数を過少申告することです。

もちろん、トンコロが発覚すれば、船積み前であれば荷主は船積を拒否され、不積み運賃の損害賠償を請求されることになります。また、トンコロされた事実が発覚せず、貨物重量に荷役機器や固縛資材、本船のデッキが耐えられず事故が起これば、荷主は関係各社から損害賠償請求を受け、更に刑事罰を受ける可能性もあります。船社の甘い判断が、荷役業者、本船乗組員などを危険に晒すことになるので、一流の船社が新品以外に Shipper's Weight & Mesurement を認めることはありません。

次は、CONDITION SURVEY についてお話を致します。不幸にして、荷役中や海上輸送中に本船船体、貨物、そして船員、荷役作業員などの関係者に事故が起きることがあります。その際、事実の現状確認を公正な第三者としてサーベイヤーが行います。サーベイヤーの報告は、後日、保険処理や裁判などの資料になるのでとても大切です。具体的には、船体に発生した損傷の現認、鋼材などに発生した錆などの現認、貨物に発生した損傷の現認などです。サーベイヤーは現状を認識するだけで、事故の原因や過失の特定などは一切行いませんし、仲裁なども行いません。

最後は、BUNKER SURVEYについてお話を致します。本船が燃料を補給する際、サーベイヤーは正確な補油量を計測します。まず、サーベイヤーは、補油前に本船タンク内の残油量を確認し本船ログと照合します。次に、BUNKER BARGE タンク内の残油量を確認します。そして、補油後に本船タンク内と BUNKER BARGE タンク内の残油量を再び確認し、その双方の量を照合すると共に補油装置に取り付けられている補油量計測機の数値とも照合します。

極稀に、補油前のチェックで本船タンク内の残湯量と本船ログが一致しない場合があります。原因は様々ですが、サーベイヤーを入れることにより、そのような事実を発見し是正させることが可能になります。

補油業者の中には、予め BUNKER BARGE タンク内の燃料油に空気を送り込んで泡立てて計測数値を誤魔化そうとする悪徳業者がいます。これは「カプチーノ」と呼ばれる不正行為です。このような不正行為に引っかかると、補油の当日に係争が本船と補油業者との間で起こって出航が遅れたり、或いは、後日、本船内タンクの残量と本船ログが一致しなくなり運航者と乗組員との信頼関係も崩れる原因にもなるので、一流の船社なら補油の際、サーベイヤーを必ず雇っています。